導入事例
読書指導、夏の課題などで
利用率ナンバー1に
名古屋中学校・高等学校
(愛知県名古屋市)
名古屋市東区にある中高一貫の男子校。建学の精神は「敬神愛人」で、学習とスポーツを通して人間性豊かな紳士を育成することを目指している。運動系の部活動も盛んだが、2016年度はSGH(スーパーグローバルハイスクール)のアソシエイト校にも指定され、探究活動も盛んだ。
2017年度の図書館改革をきっかけにジャパンナレッジLibを導入。ジャパンナレッジSchoolへの移行はスムーズだったのか? 利用率が全国1位になったのはなぜか? 8月26日に行なわれた「ジャパンナレッジSchool Forum2022」での杉原辰雄先生(社会科教諭、図書・情報部部長)の講演をもとに、その趣旨を以下にまとめた。
確かな情報源としてジャパンナレッジLibを導入
名古屋中学校・高等学校の杉原と申します。私は社会科を教えており、また2017年から図書・情報部の部長もつとめています。本校の創立は1887年。キリスト教主義に基づく中高一貫の男子校で、中学769人、高校1415人の計2184人が在学しています。
本校では、2017年からジャパンナレッジLib中高パック(現在、サービス終了)を導入しました。2016年度から探究活動をスタートし、情報リテラシーの観点から、根拠となる資料の扱い方を重視していました。
ネット上には多くの情報があふれており、子どもたちだけではどの情報源を信頼すべきか判断ができないため、我々が正しいものへと導く必要があります。信頼できる情報源といえば百科事典ですが、紙の事典はクラス単位で同時に使うことができないので、活用に限界があります。ジャパンナレッジLibの存在を知ったとき、これは絶対に導入したいと思いました。
図書館改革の一環として
また私が部長になった2017年から、図書館を学校の中核に位置付け、「使ってもらえる図書館」にするため、さまざまな取り組みを始めました。
本校の図書館は、内村鑑三先生の寄贈本をもとに設立された歴史ある図書館です。名古屋中学校・高等学校として特色ある蔵書を整備しようと、宗教関連の資料や外国語の資料を揃えました。また、本校は2016年度から文部科学省のSGHのアソシエイト校に指定されており、本校の研究開発プログラムである「減災・環境・エネルギー」に関連する資料も充実させました。
施設・サービス面もリニューアルし、主体的な学びの場としてラーニング・コモンズを設置し、図書館を365日開館することにしました。またビブリオバトルなどのイベントも充実させていきました。
さらに、当時はまだGIGAスクール構想がスタートしていませんでしたが、タブレットとノートPCを150台用意。ジャパンナレッジLib中高パックの導入も、こうした図書館の新たな取り組みの一つでした。その結果、図書館での授業が急増し、我々が目指していた「使ってもらえる図書館」になっていきました。
ジャパンナレッジSchoolへの移行について
2021年度から全学年でiPadを導入。そして、図書館利用が中心だったジャパンナレッジLibから、個人の端末で利用できるジャパンナレッジSchool(以下、JKS)に移行しました。
まず、JKSの導入の決め手になったのは、収録されている新書を朝読・昼読など読書指導に活用できるという点です。選書がしっかりしているので、安心して子どもたちに勧められます。また、中高生向けの辞書も充実しているので、紙の辞書や電子辞書の購入はやめました。
国語科のある授業では、高校1年生の夏休みの課題として、JKSに収録されている「新編 日本古典文学全集」のなかから「竹取物語」を取り上げ、その世界観と現代の世界観とを比較して論述させるという課題が出されました。教科書には物語の一部しか載っていません。だから作品世界をきちんと理解させるには、作品のすべてが通読できる「日本古典文学全集」が入っているのはとても有り難いことです。また、私は社会科の教員なので、JKSの「日本国勢図会」を探究活動に活用したり、百科事典を用語集的に使ったりしています。
本校は、JKSの2021年度の利用率が全国で1位だそうですが、このように授業だけでなく、休み中の課題にまで生徒が幅広く使っているからだと思います。費用は学校負担から個人負担になりましたが、コンテンツが充実しているので、生徒や保護者にとってもそれ以上のメリットがあると考えています。本校の学校説明会でも、探究活動など授業でJKSを活用していることを伝えています。
「図書館が変われば学校も変わる」──我々図書・情報部の試みはまだまだ道半ばですが、探究学習が深まり、運動系だけでなく文化系の部活動もさかんになるなど、生徒たちの学びや活動も変わり始めています。
名古屋中学校・高等学校のご紹介
愛知県名古屋市東区にある私立男子校。1887(明治20)年、宣教師F.C.クラインが私立愛知英語学校として創立。中高一貫教育で、「基礎的段階」「習熟的段階」「発展的段階」の3段階に分け,それぞれの段階に適したきめ細やかな指導を行なっている。教務部、進路部と並んで図書・情報部があり、学校の中心部に図書館があり、子供の読書活動優秀実践校として文部科学大臣から表彰を受けている。2021年度からSGHネットワーク加盟校。