導入事例
進化し続けるJKSで
調べ学習の質と効率が向上
新潟県立三条高等学校
(新潟県三条市)
明治35(1902)年に開校し、地域の伝統校として知られている新潟県立三条高等学校は、令和3年度に文部科学省からWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業拠点校の指定を受けて以来、「自主自律精神の涵養」と「情操豊かな人間性と創造力の育成」に加えて、グローバルリーダーの育成を教育理念に掲げている。
「ジャパンナレッジSchool」(以下、JKS)については、令和4年度から導入を開始し、現在は全学年で幅広く活用している。その導入と推進に携わった国語科の押木和子先生に、導入の経緯や活用法、今後の展望についてお話をうかがった。

JKSは探究活動における調べ学習ツールとして有効だった
──JKSを知ってから導入に至るまでの経緯を教えてください。
押木:JKSとの出合いは図書館総合展でした。他校の教員や司書からの紹介があり、ちょうどWWL事業の指定を受けて探究活動で調べ学習を行う必要があったのと、生徒に1人1台デバイスがいきわたったタイミングだったので、すぐに検討を始めました。生徒のトライアル実施する時間がなかったのですが、教員は3か月のトライアル期間を経て、いろいろなコンテンツに触れることができ、とてもいいツールであることがわかりましたので、思い切って導入することを決めました。最初は1~2年生から利用を開始し、3年目の今年から3年生も使えるようになり、現在は全校生徒が活用させていただいています。
──校内調整や費用面など、導入に関しての苦労はありましたか?
押木:JKSは一般的なウェブ上の検索ツールとは違い、図書館のような、信頼できる本が集められているサイトのイメージが強かったので安心して導入することができました。教員のトライアルをしたことで、多くの教員から賛同を得ることができましたので、校内での調整はとてもスムーズでした。費用については、JKSを導入することで、今まで生徒全員に購入してもらっていた辞書や新書等の負担が減ることを説明したところ、保護者の方にもご理解いただけました。入学後、生徒たちにはきちんとJKSの利用法を説明し、辞書引きの時間を増やしたり、教材として利用したりしていますので、学校生活の中で活用していることもアピールできていると思います。
──簡単に情報が手に入る時代ですが、なぜJKSを調べ学習のツールとして取り入れられたのでしょうか?
押木:Google検索など、Webで簡単に情報が手に入る時代ですので、生徒たちはすぐにネット検索に頼り、適当な情報を集めてくるようになってしまっています。私たちはそこに不安を感じていました。しかし、JKSには信用できる確かな情報源があり、きちんと出典を明記することができる点に非常に魅力を感じました。出典の引用もしやすいので、調べ学習のツールとしては有効だったのです。
──新しくJKSの機能として導入された「セマンティック検索」も活用されているようですね?
押木:あいまいな質問に対しても的確な答えを導いてくれる「セマンティック検索」は、すごく便利な機能だと思っています。検索の際、どんな言葉を入力すればいいか思いつかないことは意外と多いと思います。そんな時でも、この機能は目的に合った検索結果を導いてくれます。この機能により、生徒たちの調べ学習の質が上がった気がします。
古典や文学作品を教材に使用。今後は統計データや地図も活用したい
──学校の授業では、実際にどのようにJKSを活用されていますか?
押木:1・2年生は、探究での調べ学習が多いこともあって、やはり事典や辞書系の利用が多いですね。その他にも朝読の時間に、多読のツールとして新書シリーズなども活用しています。また、3年生の国語科では、教材として「角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス」を使い、1年かけて『源氏物語』全巻を読ませました。さらに、夏目漱石の『こころ』を読ませるなど、教科書で扱わない名作にも触れる機会を増やしています。また、国語科の教師としては、入試に対応した、古典の読解力をつけさせたいと思っているので、定番作品がそろっていることは本当にうれしく思います。他にも、理科で「ブルーバックス」を読ませたり、自主的に「学習まんが」で歴史を学んでいたりする生徒も多いですよ。いろいろなジャンルの本に触れることができるため、生徒たちの好奇心や探究心を刺激することができていると思います。
──今後、教材として使っていきたいコンテンツはありますか?
押木:今まであまり活用できていなかった地歴・公民や英語の学習でも、今後は積極的に利用していきたいと考えています。特に「統計でみる日本」や「世界学習地図ライブラリ」などは、もっと早くから使えばよかったと思っているので、すぐにでも探究活動などで取り入れていく予定です。また、導入が予定されている「ラダーシリーズ」(2025年4月公開予定)は英語の多読にとても効果的だと思っています。手に入りにくい洋書が手軽に読めるのはとてもありがたいので、しっかり活用していきたいと思います。
定期的なレクチャーを行い、日常的に、有効に使わせたい
──JKSをまだうまく使いこなせていない生徒に対してはどのように利用を促していますか?
押木:授業でJKSを使う機会が増えたことで、生徒の中での認知度は高まってきました。それでも実際は利用状況に偏りがあるのが実状です。日常的には使っていないという生徒たちがおり、その理由を聞くと、使い方がよくわからないからという答えが返ってきます。きちんと使いこなすためには、使い方をしっかり教える必要があるようです。現在も、利用方法をわかっている教員が使い方を説明したり、司書を通じて生徒にお便りを出したり、新機能の紹介等も定期的に行ってはいるのですが、やはり一度聞いただけではすぐに忘れてしまうようです。もっと定着させるには、何度かレクチャーと実践を繰り返し、なるべくJKSを開く機会を増やすことで、みんなが日常的に利用する習慣として定着させていく必要がありますね。
──JKSの利用を通じて、今後生徒さん達に期待することはありますか?
押木:今の生徒はとにかく辞書や書籍を調べないのです。だから、JKSを利用することで調べる習慣をつくることが大切だと思っています。そして、情報をうまく選択し、それを取り扱える、情報リテラシー能力を高めることについても教えていきたいと思っています。JKSを効果的に利用すれば、確実に探究活動や勉強の質と効率が上がります。JKSで取り扱うコンテンツは年々増えていて、機能もどんどん進化しているので、宝の持ち腐れにならないように、しっかり活用していければいいなと思っています。

新潟県立三条高等学校のご紹介
新潟県三条市にある、創立120年以上の伝統ある公立高校。これまで輩出した3万人を超える卒業生は、地元はもちろん、国内外においても幅広い分野で活躍している。学校は「体を鍛え、心を磨き、勉強する場」であるという考えのもと、学習と部活動の文武両道に邁進し、学校行事を通じて人間性を高めることで、将来、世のため人のために行動できるリーダーへと成長してくれることを教育目標としている。令和3年度からWWLコンソーシアム構築支援事業の拠点校の指定を受けたことで、地域や大学との連携、国際交流などを通じて、さまざまな課題の解決に挑むグローバルリーダーの育成にも力を入れている。
学科:普通科、理数科(理数科は2025年4月新設予定)
生徒数:約720名
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