導入事例
授業づくりに課題づくり、
受験対策でも大いに活用
西武学園文理高等学校
(埼玉県狭山市)
埼玉県狭山市にある中高一貫の私立校。「すべてに誠をつくし最後までやり抜く強い意志を養う」が教育方針だ。「グローバル教育・進学教育・人間教育」の3つの柱で生徒を育成しているが、2021年度からは世界で活躍するトップエリートの育成を目指し、グローバル選抜クラス、グローバルクラスといった「グローバル」をキーワードにしたクラス編成に刷新した。
ジャパンナレッジSchoolをどんなシーンで活用しているのか? ジャパンナレッジを大学時代に利用していたという経験をお持ちでGoogle for Education認定トレーナーでもある、国語科の笠原諭先生にお話をうかがった。
あのジャパンナレッジが自由に使えるなんて…
──ジャパンナレッジSchoolをご存知になったきっかけは? 採用にいたった決め手とは何でしょう?
笠原:2020年9月に幕張で行われた教育ITソリューション EXPO(教育総合展)でジャパンナレッジSchoolの出展ブースを見つけたことがきっかけです。同行していた同僚を思わず呼びとめて、「ジャパンナレッジが定額で、しかも生徒が自由に使えるなんてすごい!」と力説してしまいました。
半年間トライアルができるというお話をいただき、学校に持ち帰ってすぐに申し込みました。ちょうどそのころ学校では探究学習を進めていたのですが、コロナの影響でフィールドワークなどの取材にも行けないため、資料不足で困っていました。そのため、ジャパンナレッジSchoolで新書や資料類が使えるというのはまさに渡りに舟でした。
トライアルを経て、探究学習や進学指導での使い勝手が良いという評価も得られたので、2021年度は一部の学年で導入し、少しずつジャパンナレッジSchoolを活用できる学年を増やしていこうということに決まりました。
──笠原先生は大学生のころジャパンナレッジをご利用いただいていたそうですね。ジャパンナレッジ Schoolの第一印象はいかがでしたか?
笠原:大学入学後、図書館が作成している、授業で活用できる資料をまとめたパスファインダーの中にジャパンナレッジが紹介されていたので、使い始めた記憶があります。検索するのにとても便利なツールだったんですが、当時はわざわざ図書館まで行かないと使えなかったので、そんなに頻繁には利用できていなかったですね。ジャパンナレッジSchoolを見て、「1人1台端末」で「全員が好きなときに好きなように使える」とはあまりにも革命的だなと思いました。これだけのコンテンツがいつも自分の手の中にあるのはすごい時代になったな、と。
コンテンツの数としてはジャパンナレッジLibのほうが当然ながら多いのですが、ジャパンナレッジSchoolは高校生が使うにはちょうど良い量だと感じています。また「日本国語大辞典」「国史大辞典」など各教科の中でも特に信頼度の高いものが入っていることがありがたいですね。
まずは検索ツールとして活用
──貴校のネット環境、パソコンなどデバイス環境についてお聞かせください。
笠原:高校では全館がWi-Fi環境となっています。端末については、今年度の高校1年生から1人1台Chromebookを導入しました。そのため1年生は授業中、Chromebookで手軽にジャパンナレッジSchoolを活用してもらっています。2、3年生については指定の端末がないので、学校ではスマートフォンなどから、家ではパソコンからアクセスしてもらっています。
──生徒たちの反応はいかがですか?
笠原:たくさんのコンテンツが利用できるからすごい、という感想が多く聞かれますね。また専門的で難しいコンテンツもあるので、背伸びしてチャレンジできるから面白いという反応もありました。
授業ではわからない言葉があったら、まずジャパンナレッジSchoolで調べるようにと言っています。検索ツールとしてまずは慣れてもらわないことには利用頻度があがらないですから。そのため、わからない言葉を検索するという形で使うことがいちばん多いと思います。そのうえで国語の授業では電子書籍を読んだり「新編 日本古典文学全集」を読んだりする機会が増えています。また夏休みなど長期休暇中に電子書籍の読書の課題を出すなどしています。
──ほかの先生がジャパンナレッジSchoolを活用されているシーンは?
笠原:Googleアカウントでのシングルサインオンができるようになったおかげで活用が進んでいる印象があります。探究学習でとくに利用していたようです。また学校推薦型選抜や総合型選抜など受験対策においても、電子書籍の新書類などを使って指導しているようです。生徒には新書類を大学の学部学科の分野別に一覧にしたものを作成して、面接や小論文を書く前にできるだけアクセスするように助言しています。
古典の多読につながった課題とは?
──「新編 日本古典文学全集」を使ってユニークな課題を出された先生がいらっしゃったとか?
笠原:高校1年生の古典の授業ですね。同僚の先生が「ジャパンナレッジSchoolを使って古典の多読につながるようなことをやってみたい」と相談を受けたので、お手伝いさせてもらいました。ジャパンナレッジSchoolには「古典文学全集」があることを紹介していたことがきっかけでした。その教材単元では『宇治拾遺物語』から興味のあるお話を1つ選んでもらって、3、4人でチームを組んで動画を作成し、プレゼンテーションをしようという課題を実施してくれました。
実際の授業では「古典文学全集」の『宇治拾遺物語』の口語訳や注釈を読んで、一人ひとりが好きなお話をチームに持ち寄ってどれをテーマにするか決め、そこからどんな動画にするか話し合い、みんなで協力してつくっていました。生徒たちはイラスト、効果音やBGMなど、さらにナレーションまで駆使して、1つのお話を2、3分の動画にまとめてくれました。あらすじをなぞるばかりでなく、このお話はどういうことを伝えようとしているのか、そこまで読み込んでつくってくれていましたね。
──生徒のみなさんの反応はいかがでしたか?
笠原:動画でのプレゼンテーションなので特に授業では発表の時間をもうけず、「Flipgrid」というサービスに動画を上げてもらい、それぞれ夏休み中の好きな時間に見てもらってコメント欄に感想を書く、というスタイルで相互評価を実施したそうですが、約50人のクラスで総視聴時間が60~70時間にも及んだそうです。つまり、1人1時間以上、視聴しているということになります。自分たちが取り上げたお話だけでなく、ほかのチームがつくったものも楽しく視聴できていることになります。教科書やテストで取り上げられた一部だけではなく、様々な作品を読める「古典文学全集」が活用できたから成り立った課題だと思っています。古文の読解力を上げるためには多読が大切なので、とてもよい単元を実践していただけたように感じます。
──今後どのようにジャパンナレッジSchoolを活用していきたいですか?
笠原:探究学習では信頼できる情報源として、まずはジャパンナレッジSchoolを使うことを約束事として生徒たちに定着できればいいなと思っています。またデジタルが積極的に活用されるからこそ著作権保護についても考えないといけない時代です。生徒たちが資料をつくる際や、先生方の教材づくりの際にも著作権を意識することが大切になってきます。だからこそ、著作権についても配慮されているジャパンナレッジSchoolを使っていくことで著作権の意識が校内に醸成されていけばと感じています。
西武学園文理高等学校
埼玉県狭山市にある中高一貫の私立校。難関国公立文系・理系進学コース、国公立文系・理系進学コース、私立文系・理系進学コースなど進路別に多彩なコースが選択できるのも特長。探究的な学習の時間として「文理探究~Bunri Inquiry~」を実施しており、それぞれの生徒が自らの興味関心にしたがって、探究的な学びを展開している。学園のシンボルマークは熊。熊を意味する英単語のBEARは「耐える」という意味もあるため、「耐えて、努力して、やり遂げる」という学校のスピリットを表現している。