花園中学高等学校には「スーパーグローバルZENコース」と「ディスカバリーコース」の2つの中高一貫コースがあります。
両コースに共通する総合学習プログラム「探究基礎」での、ジャパンナレッジSchool(以下、JKS)を活用した1年生の取り組み「ビブリオ探究」について、「ディスカバリーコース」の統括を務める伏木先生に伺いました。
活用事例
探究学習の基礎固めとなる
JKSの新書類を活用した
「ビブリオ探究」とは?
花園中学高等学校
私立・共学/学年:中1/JKS導入:2022年/利用端末:タブレット
2023年度から導入した「ビブリオ探究」
伏木先生:本校の中高一貫コースには2つのコースがあり、どちらも探究活動を中心に授業を展開しています。
「スーパーグローバルZENコース」は、本校の母体である妙心寺の禅の取り組みを教育活動の軸に据えており、生徒たちが様々な文化体験を通して日本人のアイデンティティを獲得したうえで、海外大学へ進学することを目指しています。
私もコース統括者として携わっているもう1つの「ディスカバリーコース」は、最先端の探究型プログラムを学ぶ中高一貫のコースです。
3年生では「企業ミッション」という、Google、JAXA、オリエンタルランドといった企業とタイアップした探究活動を行い、4、5年生(中高一貫での学年。高1、高2に当たる。以下同様)では社会科学、人文科学、ライフサイエンス、物理、テクノロジーなど、分野別のゼミ活動をするなかで自分の進路を見つけていくというコースです。
伏木先生:1、2年生では「スーパーグローバルZENコース」も「ディスカバリーコース」も、「探究基礎」という共通授業を行います。
好きなことをとにかくとことん調べて、そこで疑問に思ったことについて仮説を立て検証・考察していくという内容です。
いわば、5年間にわたる探究活動のスタート地点。その「探究基礎」に、2023年度には「ビブリオ探究」の取り組みを入れました。
「ビブリオ探究」とは、「ビブリオバトル」からバトルの要素を抜いたもの。探究テーマを調べるために読んだ本の中で生じた疑問や不可解な点、深掘りしたい点などを浮き立たせていく作業です。
生徒たちが通読した書籍とともに、その疑問点などを模造紙にまとめ、プレゼンし、他の生徒から評価や意見を得て、自身の探究のテーマ設定に役立たせていきます。そこでJKS所収の新書類や歴史マンガも活用しました。
「ビブリオ探究」のゴールは、保護者を交えた「ポスターセッション」
伏木先生:まず入学前に、自分の好きなことを一度リサーチしてみようという課題を新入生に出します。
入学後、その課題を再度掘り下げていきます。そのままそのテーマを課題にする生徒もいれば、課題を設定し直す生徒もいます。今年度の1年生は3クラスで約60人。学年団の計6名の先生とともに「探究基礎」を見ていきます。先生それぞれに専門や得意分野がありますので、クラスに関係なく、ジャンルに分かれてチームを編成し、進めていきます。
授業は週1時間ですが、本校は放課後に自分たちが定めた各々の課題に取り組む「Global Discovery(通称GD)」という時間を週2時間程度設けていますので、生徒たちは大体その時間を活用して取り組んでいます。
テーマは身近なもの、特に生き物などの自然科学系が多いですね。
また、アニメやサブカルチャー、SGDsなどといったテーマの他にも「次の自動車を考える」といった提案型や、「こういうときに人はどう動くのか」といった心理学的なものをテーマにする生徒もいました。
伏木先生:「ビブリオ探究」に入る前に、JKSの新書や歴史マンガなど、書籍類の内容や使い方について私が生徒たちにレクチャーをします。
生徒たちは7月の期末テストくらいまでに、テーマを調べるために読む本をリスト化します。テーマによっては必ずしもJKSの書籍類で追えないものもあるので、JKSの書籍類とそれ以外の書籍の2本立てにしてリスト化してもらうようにします。
生徒たちは夏休みにそのリストから最低2冊を読み、テーマについて調べを深めていきます。そして、読んだ本を「夏の探究通読レポート」にまとめます。
伏木先生:2学期はそのレポートを1枚の模造紙にまとめる作業をします。これは11月の保護者参観で発表する「ポスターセッション」用のものです。
まずは10月に生徒たちでリハーサルをし、11月の本番に備えます。当日は、保護者の方々にアドバイザーという役割を担ってもらい、大人の見地から意見をもらいます。この日は、JKSの教材費を負担されている保護者の皆さんにJKSについて知ってもらう、良い機会にもなります。
この「ポスターセッション」の結果を「リフレクション」として生徒たちが互いに共有し、一連の「ビブリオ探究」が完了します。
「探究って楽しい!」と、生徒たちにくまなく伝えたい
伏木先生:その後生徒たちは、「ビブリオ探究」の取り組みをはじめとする「探究基礎」で培った知識を前提に、冬休みに「個人探究」のレポートを作成します。テーマ設定の経緯、実際の探究活動、考察などをレポートにまとめます。
また、参考文献の欄には書籍名だけじゃなく、JKSなどでどんなワードを検索したかも詳細に書いてもらいます。
それを担当の先生が添削したうえで、2月中旬に最終版を完成させます。
3月に1年生から5年生まで集う本校全体のプレゼン大会があり、1年生のレポートはPDFの冊子データにして全校生徒に配布します。
内容のよかったものに関しては賞状を授与するなど、生徒たちの充足感に繋げられたらと思っています。
伏木先生:2024年1学期には、新2年生によるレポートの発表会を新1年生に向けて開催します。
新1年生は探究のスタート地点ですから、来年の今頃は、自分の探究もレポートを作成したり、プレゼンで発表したりすることになるんだな、先輩はすごいな、と思ってもらえる様に工夫しています。自分たちも頑張らなきゃ、となったところで我々教員の指導が入っていければいいなと思っています。
「探究基礎」の段階で、「探究するって楽しい!」ということを生徒全員にくまなく伝えられるか? 探究活動に対する生徒たちのモチベーションをどう上げていくのか? 我々教員にも常にそうした課題はあります。
ただ、少なくとも1、2年生でJKSに触れて探究学習に取り組んでいると、5年生になったときにJKSを普通に使えるようになっていきます。
導入1年目は主に教科学習を中心に活用していたJKSでしたが、導入2年目には「ビブリオ探究」をはじめ、様々な総合探究でのシーンでも活用したことで、探究だけでなく教科学習などの他の授業でも、もっと能動的にJKSを使ってもらえるような良い反応が生徒たちから出てくればいいなと思っています。
関連情報
花園中学高等学校の、JKS導入の背景や取り組みの成果は導入事例で、社会と国語の活用方法は活用事例で紹介しています。
よろしければご覧ください。
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